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大脳皮質連合野の話


 大脳皮質連合野 association area は大脳皮質運動野と感覚野の間に介在し、高次の精神機能を営む大脳皮質の領域です。

 大脳皮質のうち、系統発生的に比較的新しい新皮質 neocortex は、発生の途中必ず一度、6層全層が存在する時期があります。その後、運動野は4層(顆粒細胞層)が薄くなりほとんど消失し、5層の錐体細胞が発達します。一方、一次感覚野では、4層が良く発達し、この層に感覚情報が入ります。このように運動野と感覚野では、発達に伴って皮質各層の形成に違いが生じます。

 一方、感覚野、運動野以外の新皮質では1層から6層までほぼ平等に存在します。
 感覚野、運動野以外の大脳皮質では、神経線維周囲の絶縁物質形成(髄鞘化)が、感覚野や運動野よりもゆっくりと起こります。また、感覚野と運動野の間に存在し、動物が高等になるにつれて広くなる特徴をもっています。このように、感覚野と運動野の間にある大脳皮質は、個体発生的にも系統発生的にも新しく、動物が進化するに従って拡大していることから、高次の脳機能を担っていると考えられています。19世紀の心理学では、高次の脳機能は感覚要素の連合 association によると考えられていたため、この皮質領域は連合野 association cortex と呼ばれるようになりました。

 連合野は、中心溝を境として前連合野 anterior association area と後連合野 posterior association area に分けます。
前連合野には前頭連合野 frontal association area があります。注1
後連合野には後頭連合野 occipital association area、頭頂連合野 parietal association area、側頭葉連合野 temporal association area があります。注2

それぞれの連合野の機能を一言で紹介すると以下のようになります。

 後頭連合野:第一次視覚野を除く後頭葉の領域。視覚情報処理。

 頭頂連合野:後頭葉の前方、背側で体性感覚野の後方の領域。空間情報(「どこに」や、「どこへ」)を扱う。また外界へのアクションに関与。

 側頭連合野:後頭葉の前方、腹側の領域。上は聴覚認知、下は視覚認知、形態視覚(「なにが」)を扱う。

 前頭連合野:運動皮質の前方の領域。大脳皮質の最も前方。行動計画の立案、実行、行動抑制、視覚的に与えられた目標への眼球運動の制御。

 運動連合野:一次運動野を除く運動皮質の領域。運動情報処理。

図1 サル(a)とヒト(b)の大脳皮質連合野。黄色部分が前頭連合野、ピンク色が頭頂連合野、緑色が側頭連合野、水色は後頭連合野、後頭連合野は視覚前野とも呼ばれる。(医学書院「標準生理学」第6版、p。474より、オリジナルは、Brodmann, J. Psychol. Neurol. 6, 275-400, 2906, Brodmann, Vergleichende Lokalisationslehre der Grosshirnrinde in ihren Primazipien dargestellt auf Grund des Zellenbnaues, 1909)

注1] 連合野を「一次感覚野と一次運動野を除いた大脳新皮質」と定義するとき、運動野を一次運動野と厳密にとらえると運動前野や補足運動野などの運動連合野を連合野として扱う必要がある。しかし、連合野の考え方ができた頃、運動皮質の機能区分が明確でなかったため、運動連合野は一次運動野とともに運動野としてまとめて扱われ、伝統的に連合野としては扱われていない。
注2]後頭連合野は純粋に視覚情報処理に関係するので、最近は視覚前野として扱い、連合野には含めない傾向にある。


[附録] 連合野のやや詳しい説明

頭頂連合野parietal association cortex

側頭連合野temporal association cortex

前頭連合野frontal association cortex


関連項目:

フィネアス・ゲージ

料理と前頭連合野

作業記憶って何


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(このページに関する連絡先:三上章允)