聴覚野も複数ある


 マカカ属のサルの聴覚野は側頭葉、上側頭回の内側面にあります。一次聴覚野は周波数の違いに対応した規則的な分布、周波数局在性tonotopyがあります。周波数の配列は聴覚受容器の蝸牛内での配列を反映しており、その意味で視覚野における網膜上の位置を反映した空間的な分布の地図(retinotopy)と似た側面を持ちます。また、聴覚野には複数の領野が区別されています。この点でも複数の領野を持つ視覚野と共通します。一次聴覚野の周りには二次聴覚野が一次聴覚野周囲をベルト状に取り囲んでいます。さらにその外側に聴覚系連合野があります。


図1 アカゲザルの聴覚野も複数の領野を持っています。この図は外側溝下壁面です。斜め右上方向が前方で、斜め右下方向が外側になります。一次聴覚野A1とその前方の吻側野R、吻側側頭野RT(青の部分)を取り囲みベルト状に複数の聴覚野(オレンジ色の部分)が取り囲んでいます。(Petkov et al 2006, PLOS Biol. 4, 1213-1226より改変)

 ニホンザル、アカゲザル、カニクイザルなどマカカ属のサルでは、聴覚野の大部分は外側溝の下壁にあります。第一次聴覚野primary auditory area(A1)の前方に吻側野rostral area(R)、さらに前方に吻側側頭野rostrotemporal area(RT)があり、この3つの領野(A1、R、RL)を取り囲むように、内側側は前から内側吻側側頭野medial rostrotemproal area(RTM)、吻側内側野rostromedial area(RM)、中内側野middle medial area(MM)、尾側内側野caudomedial area(CM)が、外側では前から外側吻側側頭野lateral rostrotemproal area(RTL)、吻側外側野rostrolateral area(RL)、中外側野middle lateral area(ML)、尾側外側野caudolateral area(CL)が取り囲んでいます。これらの8つの領域はA1、R、RLをベルト状に取り囲んでいるので、聴覚ベルトauditory beltと呼ばれており、後方の領域は音源の空間位置を担当し、前方の領域は音の特徴抽出に関係していると考えられています。前方の領域からは純音にはあまり反応せずバンドパス・ノイズに強く反応する細胞活動が記録されます。