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1.体性感覚野には体の地図がある 体性感覚は内蔵と脳以外の身体組織にある感覚器官によって生じる感覚です。表在性受容器(皮膚受容器)は、皮膚、粘膜、皮下組織などにあって外部からの機械的変形、温度変化を検出します。深部受容器(固有受容器)は、筋肉、腱、骨膜、関節嚢、靭帯などにあって内部の運動器官の機械的変形を検出します。深部受容器は、自己の運動状態を検出するために重要な役割を演じています。「脳の中のこびと」で紹介した大脳皮質の一次運動野は、体の位置に対応した規則的な地図を持っていました。図1は「脳の中のこびと」に載せた図と同じです。体性感覚の情報を受け取る大脳皮質の領域は、中心溝という脳溝を挟んで一次運動野と向き合っています。一次運動野はこの溝の前に、第一体性感覚野はこの溝の後ろにあります。第一体性感覚野にも体の位置に対応した規則的な地図があり、その配列は図1に示した運動野の地図とほぼ同じ配列になっています。足が内側にあり、胴体、手、顔の順に外側に配列しています。このような規則的配列を体部位局在と呼んでいます。また、体性感覚野の配列は、体の左半分は右の大脳皮質に、体の右半分は左の大脳皮質に対応部分を持っています。従って体性感覚も他の感覚や運動のシステムと同じように対側支配の原則に従うことになります。
2. 体性感覚野も複数ある 「視覚野はいくつある」や「運動野はいくつある」で紹介したように、大脳皮質の感覚野や運動野に共通する特徴のひとつは、対応する領域が複数あり、従って地図も複数あるという点です。体性感覚野もその例外ではなく、第一体性感覚野と第二体性感覚野があり、第一体性感覚野はさらに3a野、3b野、1野、2野に分かれます。また、それぞれの体性感覚野が体の各部に対応した地図を持っています。図2はカニクイザルの3b野と1野について詳しく調べた結果です。体の隣接する部分が、大脳皮質表面でもほぼ隣接するように規則的に配列していますが、必ずしもこの原則に沿わない部分もあります。これは、複雑な立体構造を持つ体の表面を2次元平面である大脳皮質表面に展開したため完全な連続配列にできなかったことによります。また、図1や図2に見るように、体の表面積と脳の対応部分の面積が1対1に対応していないという点でも運動野と共通しています。
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