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ヒトがものの色を見るとき、照明光の条件が変わっても照明光の色味にあまり引きずられることなく白色光で見たときの色に見えています。例えば、夕焼けの赤味の強い照明条件でも、蛍光灯の緑味の強い照明でも、また、黄色みのつよい電球の照明条件でも、赤は赤、緑は緑、青は青、黄色は黄色に見えます。照明光の色味が変わると実際には、見ている物体からの反射光の物理的性質は大きく変動しています。それにもかかわらず、色の判断がほぼ安定して得られるこのような色知覚の特徴を色の恒常性と呼んでいます。
ヒトがどのようにして色の恒常性を実現しているかについては諸説がありますが、その照明光のもとで見えているいろいろな色の見え方からその時点での照明条件を推定し、その推定値を用いてそれぞれの物体からの反射光の値を補正していると考えられます。色の恒常性はサルにも存在することが確かめられています。刻々と変化する照明条件を推定することはかなり高次の機能のように思われますが、色の恒常性は昆虫にも存在することが知られています。
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