色盲はカラー・カモフラージュ条件で有利

 
図1の写真には複数の昆虫が写っている。何匹まで数えられるだろうか? この写真のように、動物の一部は自らの色を周りの色に似せて捕食者から身を守る。兵士のヘルメットや衣服、兵器などに塗られた迷彩色も類似の目的である。砂漠で戦う兵士は茶系の迷彩服をまとい、森林で戦う兵士は緑系の迷彩服をまとう。色は日常生活の中で目立つ特徴であり、便利なこともあるが、目立つがゆえに邪魔になることもある。


図1 まわりの環境に似せた色と形を持つ昆虫たち。(シドニーのオーストラリア博物館にて撮影)


 カラー・カモフラージュの条件は正常色覚には不利になるが、色盲ではどうだろうか? 図2のようなテスト・パターンを用いてテストしたところ、正常色覚のオマキザル、カニクイザル、チンパンジーは、カラーカモフラージュ条件で正答率が著しく低下した。一方、色盲のオマキザル、カニクイザル、色弱のチンパンジーでは、カラーカモフラージュ条件でも赤または緑の単色条件でも同じ正答率を示した。同じ視覚パターンを用いてヒト被験者でテストしたところ、正常色覚者ではカラー・カモフラージュ条件で反応時間が延長したが、色盲・色弱者ではカラー・カモフラージュ条件での反応時間延長が見られなかった。これらの結果は、色盲・色弱がカラー・カモフラージュ条件で有利であることを示している。



図2
(a)緑単色のコントロール条件。
(b)赤単色のコントロール条件。
(c)カラーカモフラージュ条件のプローブ刺激。いずれの条件とも○を選択すると報酬が与えられる。△、◇、□を選択すると報酬は与えられない。
色盲個体は(c)の条件を(a)、(b)と同様の正答率、反応時間で行う。正常色覚個体は(c)の条件で反応時間の延長や正答率の低下が起こる。


<参考文献>

Atsuko Saito, Akichika Mikami, Shoji Kawamura, Yoshikazu Ueno, Chihiro Hiramatsu, Kanthi A. Widayati, Bambang Suryobroto, Migaku Teramoto, Yusuke Mori, Kunitoshi Nagano, Kazuo Fujita, Hika Kuroshima and Toshikazu Hasegawa,Advantage of Dichromats Over Trichromats in Discrimination of Color-Camouflaged Stimuli in Nonhuman Primates. American Journal of Primatology 67, 425-436, 2005.

Atsuko Saito, Akichika Mikami, Takayuki Hosokawa, Toshikazu Hasegawa, Advantage of dichromats over trichromats in discrimination of color-camouflaged stimuli in humans. Percept. Motor Skill. (in press)


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