脳の神経細胞の数



 脳の複雑な働きは、情報の伝達と処理を担う細胞=神経細胞(ニューロン)の働きによります。脊椎動物の脳には沢山の神経細胞があり、その数を全て数えることは困難です。脳は神経細胞が集まっている場所や主として神経線維(神経細胞の情報伝達のための突起=軸索)が走っている場所があり、また、神経細胞の大きさな密度も様々です。従って、脳の一部の神経細胞の数を数えて脳の体積で掛け算をしても脳全体の神経細胞の数を計算することはできません。幸い、哺乳類では、大脳の表面に神経細胞の集まった構造=大脳皮質があり、大脳皮質は厚さがほぼ一定のシート状の構造をしています。そこで、大脳皮質の神経細胞の数は、大脳皮質のシートの一部の細胞数を丹念に数え、あとはシートの面積でおおざっぱな数を計算することが可能です。 この様な計算に基づいて、複数の研究者が行ったヒトの脳の大脳皮質の神経細胞の数の計測値にはおよそ100億から180億くらいのばらつきがあります。そこで、一般には平均値をとってヒトの大脳皮質の神経細胞の数は140億個であるとされています。同様の方法で計算した大脳皮質の神経細胞の数は、チンパンジーで80億、アカゲザル(ニホンザルの仲間)で50億とされています。 注意を要するのは、これらの数が大脳皮質の神経細胞の数であり、脳あるいは中枢神経(脳と脊髄)全体の数ではないということです。大脳の内側には神経細胞の集まった神経核があり、小脳や脊髄にも沢山の神経細胞があります。小脳だけでも1000億以上の神経細胞があるという概算もあります。従って、中枢神経全体の神経細胞の数は1000億と2000億の間と推定されます。


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(このページに関する連絡先:三上章允)