宮嶋研究室
 

研究紹介

IFCO2013大阪世界大会

 2013913()16()、大阪国際交流センターにおいて、IFCO世界大会がメインテーマ:家庭養護の推進に向けて協働しよう!により、公益財団法人全国里親会の主催で開催されました。

ifco 2013 oo.JPG  大会の様子

初日の午後、ボブ・ルイスによる特別講演「まず、子どもの声を」では、「ビデオ・プロジェクト」という手法が紹介されました。このプロジェクトは、若者が自分自身で取り組みをコントロールし、自分で進めるものでした。若者自身が簡易なビデオ・カメラを使用し、段階的なプロジェクト・プロトコールに従い、癒しにフォーカスしていきます。カメラを使用することにより、内省的、個人的なコミュニケーションを促すことを期待するものです。

ボブは、「彼らが犯した過ち」で援助記録を作成しているが、そこでは一人の子どもについての「完全な開示(記録)」はなく、否定的な開示(記録)となり、子どもたちを弱者に仕立て上げることにつながっていると分析しています。ビデオ・プロジェクトとは「子どもたちが主体的に語る物語を、子どもたちが主役となって作品に仕上げていく」取り組みです。養護の中にいる彼らのペースで記録を作成していくビデオ・プロジェクトの手法は、ソーシャルワーカーが、普段の訪問の際に、決まった業務の一環としてプロトコールと一定の質問をすることにより、その若者の全体像を感じ、若者が自身のストーリーを語ることを力づけ、生涯にわたる関係を取り戻し、新たにする手伝いをするというものです。子の手法は、どの子にも自分の声を聴いてもらうことができるし、できる限りすべてのソーシャルワーカーが彼らの声を聞き、記録することに役立つ。つまり、彼らを尊重すること、彼らにペースを委ねること意外に、複雑な技術・専門性、高額な費用は必要ないからだという。

2013 ifco001.jpg 
 私はナラティブ・アプローチを標榜するソーシャルワーカーとして、彼らの「声」を記録することを大切にしてきています。「声」を記録する、その延長線上に「画像」を取り入れるという手法があり、彼らのオルタナティブ・ストーリーがビデオ・プロジェクトで描き出されていると感じました。

今、日本の社会的養護は大きく転換しようとしています。このIFCOの取り組みは、世界の潮流であり、IFCOの実践は10年後の日本の姿を映し出す鏡であってほしいと思いました。

施設養護の中にいる彼らの物語は「誰も僕を欲しがらない。」「何故、誰も僕たちを欲しがらないの?」というものであり、この物語をIFCOに集った人々は変えようとしています。
ifco 2013 oo (1).JPG分科会の様子
 子どもたちを支え、家庭的養護を選択し、里親のもとで子どもたちを育てるというベターな方法を選択していくためには、時間も人手もかかり、ノウハウの蓄積が求められます。そして、里子と里親を支援するソーシャルワーカーが非常に重要になってきます。
 ボブはは次のように結んでいました。
 私たち(里親=foster careの関係者)の約束。子どもや若者の現実の問題は、養護の中にどのくらい長く留まるのか、また、どのような事情で入ってきたかにかかわらず、すべての子どもたちにとって緊急を要する解決すべき課題である。私たちの共通のゴールは、「変わらない関係」を「安全」「安心」と同様に提供し、そういう場を得たと、子どもたちに理解されることである。養護の中にいる子どもは誰でも、養護の中に置かれるべきではないし、若者の文化を保護することで、安心・安全を保障することが大切である。そして「満齢解除(措置期間の最高年齢に達した子どもを、出口の保障なく措置解除すること)」される子どもを出さないことである。
 
ここでは、彼らの物語を「変わらない関係」の中で「安心・安全」に変えていくことは、将来に希望を見出す力とそれを実現することにつながると考えられています。
 里親等支援者の
基本的な態度として、10代と話すとき、3LT(Love・愛、Listen・聞く、Learn・学ぶ、Teach・教える)を守ることが大切であるとも。
 
里親等やソーシャルワーカーが実践の根拠とする考え方は、次のように整理されました。
     10代と話すことこそ、ベストな実践である
     青年期の成長に期待する
     成功するための強みに働きかける(若者とコミュニティの結びつけ)
     子ども・若者が成長できる資産を活用すること
     再結合の5つの要素(忠誠、喪失、自尊心、振る舞いのコントロール、自己決定)
     哀悼の必要性(他の人からの継続的支援、意味を探す、新しいセルフ・アイデンティテイ、その人のことを覚えていること、痛みや喪失を抱きしめること、現実を認める)
     3-5-7モデル:子どもたちを変わらない関係のために準備させる
3つの課題:明確化、統合、現実化
5つの質問:何、誰、どこ、どのように、いつ
7つの要素:引き付ける、聴く、真実を話す、証明する、安全、戻る、痛みを伴う
 4日間にわたる世界大会の内容を、詳細に報告することはたいへん難しいと思います。そのような中、私が今回の大会で感じたことは、
①日本は今、子どもたちのために変わらなければならない。
②子ども若者に「時間・人・金」がかけられ、「安心・安全・十分な情報を知った上での意思決定」を得られる社会に。
そして
③世界で共通に語られる「子ども・大人・支援者(ソーシャルワーカー)」で思いを分かち合い、協働できる方向に。
ifco 2013 oo (2).JPGのサムネール画像 閉会式~大阪府警音楽隊

ifco 2013 oo (5).JPGのサムネール画像のサムネール画像 閉会式~若者たちからのアピール
ifco 2013 oo (6).JPGのサムネール画像 閉会後のランチ~鶴橋のコリアン・タウン